2012年2月4日土曜日

【ゲーム開発】ゲームとお金の話 その4「正しいお金儲けとは?」

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ククク……
カイジくん 違法も法だよ……



という事で、ソーシャルゲーム話の続き。
これまでの話は以下の通りです。

【ゲーム開発】ゲームとお金の話 その1 「それはゲームか?」
http://ameblo.jp/yokota6/entry-11129148458.html

【ゲーム開発】ゲームとお金の話 その2 「お金と時間」
http://ameblo.jp/yokota6/entry-11135250229.html

【ゲーム開発】ゲームとお金の話 その3 「ソーシャルゲームが嫌われる理由」
http://ameblo.jp/yokota6/entry-11140630099.html



最初にお断りしておくと、このシリーズ今回で終わらせるつもりだったんですがパチンコの話をダラダラと書きすぎて終わりませんでした……という事を踏まえていただきつつ、本日の日記スタートです。



ソーシャルゲームを感覚的に嫌う理由については前回書いたので、今日は「客観的に見てソーシャルゲームでボロ儲けするのは正しいのか?正しいお金儲けってなんだ?」について考える実験をしてみたいと思います。

最初は世の中的に「正しくない」とされているお金儲けについて。



まず「お金でお金を儲ける」ギャンブルは基本的に違法です。部分的に例外はあるのですが、例外は「これが例外ですよ」という法律があって、そこに記載されているもの以外はやっぱり違法です。

賭博及び富くじに関する罪 - Wikipedia http://bit.ly/zSOAVL

競馬や競輪やFX投資は合法なんですが、賭け麻雀や野球賭博は違法です。ギャンブル以外にも、勝手に宝くじを作ったり、ネズミ講をやったりするのも違法です。

とにかく国家というのは「お金でお金を儲ける」事に対する事に対しての警戒感がハンパじゃありません。そういう事を自由にさせると簡単に経済が崩壊する(と考えられている)からです。だからコントロールしたがる。

という事で、とりあえず法的には「国家がコントロールしている賭博は正しく、コントロールしていない賭博は違法としている」というのが現状です。



法的な意味ではパチンコはかなりグレーゾーンな遊戯なんですが、警察とべったり癒着し、特殊な法律を運用することである種のコントロール下に置かれていると言えます。ではどういう風にコントロールしているのか?

パチンコ店は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の第二条第一項第七号」という法律で扱われるんですが、業界では簡単に「七号」と呼びます。ちなみにゲーセンは「八号」です。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
http://bit.ly/xNPQ0M

でまあ七号業界は警察や公安委員会にガッチガチに規制されています。僕はパチンコをやらないんですが、一時期勉強した事があってその構造の特殊さに驚きました。知らない人も多いと思うのでサラッと説明してみます。



まずパチンコには「大当たり」という状態があります。これが今は「1/400」までって決まってるんですね。まあ、パチンコ台の特定のアナに入ったら400回に一回大当たりする、という確率です。

実はこの「1/400」ってのは下限でして、「1/1000」とかにしちゃダメなんです。パチンコの規制はものすごく複雑なので、この倍率についてシンプルに宝くじに変えて考えてみます。

たとえば一回100円のクジがあったとします。

 ・400回に一度4000円が当たる。

というルールがあるとしましょう。これが「1/400」のクジです。これを換金率を同じにして「1/1000」にすると

 ・1000回に一度10000円が当たる。

というクジになります。しかしこの低確率にしちゃダメなんですよね。
それは射幸心を煽りすぎるからです。



射幸心っていうのは「幸せになりたい」という言葉ですが、まあここでは「儲けたい」というキモチです。ということで射幸心と賭博は切っても切れない関係にあると言えます。

射幸心と賭け事 - Wikipedia
http://bit.ly/zchaR1

たとえば前出のクジの倍率をコントロールすれば

 A・100回に一度1000円が当たる。
 B・400回に一度4000円が当たる。
 C・1000回に一度10000円が当たる。

という様々なパターンが作れますが、確率と返金の期待値の割合はABC全て同じにもかかわらずCの「低確率・高配当」が必ず人気が出ます。これはもう絶対です。この「低確率・高配当」の状態を「ギャンブル性が高い」と言います。(※数字に間違いがあったので修正しました)

ですから本当はパチンコ業界はギャンブル性を高くして人気を出したいトコロですが、警察とかにイロイロ言われて「1/400」にしている訳です。

事実、以前のパチンコ業界は大当たりの確率が「1/500」だったのですが、規制によって「1/400」に引き上げられました。結果としてギャンブル性が低下し、客離れが起きたそうです。(イロイロ言われている業界ですが、苦労をしているようで)



他にもパチンコが特殊で面白いところが「アナに入った瞬間に当落が決定されるのに、アナに入った後にムービーが変化して当選の期待値が変わる」という点です。これ、パチンコやらない人は何言ってるか判らないと思いますので、簡単に構造を説明してみます。(正直自分もよくわかってない気がしますが)

パチンコはいくつかのムービーが連続して流れます。そのムービーの内容が「アツイ=期待値が高い」となります。たとえば

 A=すごく当たりそう!
 B=普通!
 C=当たらなさそう!

という3つのムービーがあるとします。それが

 ABC

の順番で流れると期待値はダダ下がりです。逆に

 AAA

であれば、期待値は高いまま維持されます。途中で期待値が変わるわけです。ところが規制では「アナに入った瞬間に当落が確定する」事が決まっていますので、本質的には確率は変化しません。確率を変えずに途中の期待値を変えるにはどうするのか?



その為にはアナに入った時に出てくるムービーのセットを複数用意します。たとえば、以下のようなムービーの順番と当落の組み合わせのリストがあるとしましょう。

 当 ムービー
 ------------
 × ABC
 × ABC
 × ABC
 × ABC
 × ABC
 × ABC
 × ABC
 ○ ABC
 × AAA
 ○ AAA

完全にランダムにここからくじ引きするとしたら、当選確率は「1/5」になります。それ以上でもそれ以下でもありません。アナに入った瞬間に当たっているかどうか判る訳です。

アナに入った後、プレイヤーの視点だと一個目のムービーが流れている間は「当たってるかどうか全くわからない」状態になります。ところが、次に二個目のムービーが流れてそれが「A」であれば可能性として「1/2」にいきなり倍率が上昇します。逆に「B」であれば「1/8」に倍率が低下します。

これが「期待値の変化」なんですね。



これ、普通のビデオゲームの仕様を切るとしたら「ムービー流す度に抽選を繰り返す」ってやると思うんですよ。その方がシンプルですから。なのにパチンコはわざわざムービーセットを用意してそこから選ぶ方式をとっている。それは「アナに入ったら当落が決定しなくてはいけない」というルールのせいなんです。

他にもパチンコはいろんなルールで縛られています。それはもうイロイロと。

8月1日から始まったパチンコ広告規制の内容
http://bit.ly/xMBSPg

なんか話がそれましたが、まあそのくらい「お金でお金を儲ける」という事は警戒されて縛られていると。



外国に目を向けてみます。

アメリカはラスベガスにカジノがあったり、オンラインでのギャンブルが可能だったりしますが、それでも規制はされています。

オンラインギャンブル各社がアメリカで規制法案可決で経営危機
http://www.onlinecasino-fan.com/content/view/196/140/

で、ちょっとややこしいんですが「お金でお金を儲ける(ギャンブル)」をコントロールする為に「ギャンブルの描写そのものを禁止する」というケースもあります。以下の例は全部ギャンブルそのものではなく、ギャンブル描写を規制している例です。


ヨーロッパ版『ポケットモンスター』でギャンブル規制
http://woman.excite.co.jp/News/column/20091218/Rocketnews24_21036.html

反イスラム的との疑惑が浮上!
アラブポケモン騒動の行方は?
http://www.cafeglobe.com/news/dailynews/dn20010424-02.html

なぜ? PS3版『二ノ国 白き聖灰の女王』が韓国で成人向けゲームに指定
http://www.kotaku.jp/2011/11/ninikuni_korea_adultgame.html

韓国当局とグーグル、ギャンブルゲーム規制で合意
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2011/09/30/0200000000AJP20110930004200882.HTML


すごい扱われっぷりです。ギャンブル。



という事で、法的に「正しくない」とされているのは世の中的に

 ・お金でお金を儲けるギャンブル。
 ・ギャンブルを描写する事。

この2点です。
ソーシャルゲームは「射幸心を煽る」という点でパチンコと同列にされがちですが、ギャンブルでは無いですし、ギャンブルを描写している訳でもありませんから、法的にはなーんの問題も無いわけです。

今のところは、という条件付きですが。



でもまあ世の中的には「ソーシャルゲームは射幸心煽りすぎてるけど、どうなのよ?」と言われている事も事実です。その「どうなのよ?」っていうムーブメントが大きくなっていくとこれからどうなるのか?そこんとこどうなのよ?

という事で次回は「お金とゲームの未来」について考えてみたい。
次回こそ終わる!つもりで!


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