「歯、くいしばれ。そんな大人、修正してやる」
/ 機動戦士Zガンダム
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「受け答え」の技術
http://iryou.chunichi.co.jp/medical_column/leaf/20120314172444122
認知症の老人に対して上手な回答をしたファーストフードの店員が居た、という話。これに対して「そういう美談は現場を苦しめる」という意見が出ています。
美談の受益者について
http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/archives/1258
今日はそんな「美談」と「美談を否定する事」についてのお話。
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ビジネスにおいて感動を誘うようなエピソードを「感動マーケティング」と呼んだりします。有名どころはザッポスとかでしょうか。
今さら聞けない「ザッポス」の成功の秘訣
http://techwave.jp/archives/51675386.html
ここまで大げさじゃないにしても、ある程度の感動を供する事は「おもてなし」の原点でもあります。
たとえば、居酒屋に行ったらテーブルに一輪の生花が飾られていたり。たとえば、飛行機で子供を乗せたらサービス外の親切をされたり。
予想外の親切には大なり小なりの感動が含まれている訳で。
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そうした親切に対して、
・親切が過剰になるとそれがアタリマエになる。
・一部の人に対して過剰サービスである。
・美談でイロイロごまかされている。
・結局コスト上乗せでしょ?
などの反論があります。もちろん、意見は人それぞれで全くOKなんです……OKなんですが、僕はそれらの主張を受け入れる人は多くないだろうな、とも思っています。
理由は単純で「魅力がない(面白くない)」から。
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「親切が過剰になるとそれがアタリマエになり、結果として一般人が苦しむ」という論理。僕はそれが正しいとは思いませんが、仮に正しかったとしてもその話は最初の美談に比べると圧倒的に面白くない。そこには物語もサプライズも何もありません。ただ、主張が横たわっているだけです。
面白くない、という事は興味を持って貰えないということ。
興味を持ってもらえない、ということは正しいかどうかを判断される土俵にすら上がっていないという事です。
「面白い」「興味を引く」という事はもはや判断する前の大前提として存在する訳です。
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何かを主張して、話を聞いて貰うというのはそんなに簡単な技術ではありません。自分なりの正論をブンブン振り回して届くんだったらみんな言いたい事を大声で叫べば済む話です。
でも社会というのは大勢の違う考え方を持った人達で構成されていて、そうした人達に考えを聞いて貰うにはある程度のエネルギーが必用で。「美談」にはそのエネルギーがある。だから伝播する。一方で美談を否定する論理の多くは、面白くも、刺激的でもありません。共感を得る為の努力が圧倒的に不足している。だから届かない。
美談否定論者の人の中には「事の正誤を冷静に見極められない大衆が悪い」みたいな事を言う人が居ますが、美談否定論が言説が拡散されないのは、大衆がバカだからではなく、コンテンツとして弱いからです。
人の心を動かす事はそんなに簡単な技術ではなく、美談はそれを成し遂げているから拡散される。美談否定論者な人は、その部分のコストを軽視しがちな気がしてなりません。
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と、ここまで書いてきましたが、世の中全部の言説が面白くなければならないか?というとそうでもないと思います。これはあくまでコンテンツ業界目線での話ですから、皆様におかれましては自由に放言するのがよろしいかと。
美談を書くのも自由。
美談否定論を書かないのも自由。
どちらを受け入れるか、読者が決めるのも自由
何よりも大切にしたいのはこうした自由が担保されている事ですな。はっはっはー(適当にお茶を濁した)
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ちなみに、最初の「認知症の老人が紙幣の代わりにティッシュペーパーを出した」話ですが、僕は全然アリだと思いました。
全てのサービス業は喜びを売り物にしている以上、美談の否定はサービス業の否定につながります。そしておそらく、全ての職業がサービス業に近い性質を持っていくようになっている現状ではこの流れは変わらないと思います。
もし冒頭の認知症への老人の対応が美談として一般性を獲得出来るほどの魅力(面白さや、実施コストの安さや、伝播性の高さ)があれば、どんなに否定しても10年後には全サービス業が取り入れるでしょうし、魅力が無ければ勝手に消えていくでしょう。
敬語や謙譲語なんてものも言葉が発生した時にはありませんでした。相手を思い量る美談だった行為が、一般化したに過ぎません。
今の敬語社会が良い状態か悪い状態かは判断しかねますが、市場原理で動く社会に対して、人間は意外と器用に適応するだろうなーと僕は思っております。
それでは。
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2012年4月13日金曜日
【日記】美談を好む人達。美談を嫌う人達。
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