完全な自由というものは、 生きていても生きていなくてもまったく同じになったとき、はじめて得られるものなんです。
/ フョードル・ドストエフスキー
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最近洋ゲーRPGをプレイしているんですが、話が頭に入ってきません。何が起きてどうなってるんだか、さっぱりわからない。
ということで今日は「洋ゲーRPGは何故話が(僕の)頭に入ってこないか。」という事をつらつらと考えてみたりみなかったりシマス。
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考察1 「言語的な相違」
オリジナルが英語なので、それをいくら上手に翻訳しても「英語感」が出てしまい、話として頭に入りづらくなるパターン。翻訳SFとかにありがちな「オマエこれ人に何か伝える事を放棄してるだろ」的な日本語。
まあでも、これは上手にやればなんとかなるのかなー、という気がしますが。
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考察2 「覚えづらい名前」
「ジャック」とか「ジョン」とか「メアリー」だったらいいんですよ。でも、由緒あるっぽいファンタジーネームは覚えづらい。どのくらい覚えづらいかをゲームを例に出そうかと思いましたが、何かイヤな事が起きる悪寒がしたので、は以下の現実を参照。
ブルターニュ継承戦争 - Wikipedia http://bit.ly/rJtLQv
ザーッと呼んでも誰が出てきたのかさっぱり覚えられません。
やっぱり日本人に英語の長い名前は厳しい予感がします。
長い名前は順序良く覚えさせてもらえればいいんです。
ですが、洋ゲーRPGは次のような理由で覚える事を拒みます。
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考察3 「いきなり大量の説明」
上の「ブルターニュ継承戦争」から冒頭の説明を抜粋します。
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ブルターニュ継承戦争(ブルターニュけいしょうせんそう、英語:Breton War of Succession, 1341 -
1364年)は百年戦争初期において、ブルターニュ公の継承争いにより起きた戦争でイングランド王、フランス王が介入し、両者の代理戦争の様相を示した。イングランドの支援を受けて1364年のオーレの戦いで勝利したジャン4世[1]がフランスの支援を受けたシャルル・ド・ブロワを破って最終的に公位についたが、フランス王シャルル5世と和解し、封臣として封建的臣従の礼を取った。
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いきなり知らない用語(「オーレの戦い」とか「シャルル・ド・ブロワ」とか)が連発され、覚えられないウチに読み終わります。記憶に残ってるのは「イングランドとフランスは昔から仲悪かったんだ」程度で。
実際のファンタジー系洋ゲーRPGの設定もこんなもんです。
イキナリ謎用語を連発するのはシナリオでは割とタブーなんですが、設定感を出そうとしてオリジナルの設定・複雑な用語をバンバン繰り出されるパターン。
これもまあ文化的な認識の違いがあるんでしょう。
日本でも歴史物をやろうといたら「天草四郎時貞が島原の乱で……」とかやりますからね。どちらが悪いか、とかでは無く、読み手側のレベルがおいついてないと、過剰な説明にはついていけない気がします。
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考察4 「リアリティ重視」
設定がきちんと作り込まれて、街に行っても各キャラクターに名前があったりなんかしちゃったりしちゃったりして、「○○からの依頼で……」とか言われて、それがまた覚えられない名前で……という悪循環。
「酒場のオヤジ」とか、そういう軽めのポインタで語って欲しいんですが「酒場のジャン・ジャック・ルソー」みたいな切り口で言われるのでこれまた混乱する。
日本のRPGだと、覚えやすいようにキャラクターにデザインや意味をヒモづける訳です。たとえば「氷の国」に居る住人はみんなエスキモーみたいな格好をしていて、青と白で村が構成されている、とか。
このメソッドってゴレンジャーあたりから来てるんでしょうかね。黄色=デブ=カレー大食い、みたいな。
でも洋ゲーRPGはそんなイージーな事はせずに、どの村もどの村人もちゃんとリアルな中世の村人の服を着ています。だからどの村の誰だかさっぱりわからない。
「伝える事」よりも「リアリティ」を重視するのは、洋ゲーならではの価値観な気がします。
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ちょっと話がそれますが、GTAIVを見てスゴイナーと思った事が一つあります。それは、街に歩いているほとんどの人に「話しかけられない」事。
考えてみれば、僕らは街で知らない人に声かけたりしないじゃないですか。だから話せなくていい。そういう仕様なんだとオモイマシタ。
自由度がある事が決してリアリティに結びつく訳ではない、という衝撃的な事例ですね。
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まとめ。
海外で良く言われる「reality(現実感)」とか「believability(信じやすさ)」っていうのは彼等にとってのソレであって、日本人に当てはまるとは限りません。
逆にひっくり返すと、上記を満たせば海外受けする設定を作れそうですがモチはモチ屋というか、ずーっと暮らしている人達に任せた方がイイ予感がします。日本人が洋ゲーRPGっぽい設定作ろうとしても、アメリカ在住の日本ファンが作ったニンジャ映画みたいな事になりそうで。(そんな映画観たことないですが)
むしろ、分からない事を楽しむ。海外旅行で大変な思いをする、けど記憶に残るよね……という考え方を持つ方が楽しめるかもしれません。どっちがイイとか悪いとかじゃなくて、「違い」を楽しめる大人になるべきだと。
そう考えると、洋ゲーRPGを原語版でプレイするとか、ある種の究極のリアリティを味わえる気がします。
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まとまってないような気がしますが、今日はここまで。
それでは。
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2011年11月30日水曜日
【ゲーム開発】洋ゲーRPGは何故話が(僕の)頭に入ってこないか。
2011年11月24日木曜日
【ゲーム開発】制約/おこげ
うん。
あの、ぼくは『マリオ64』のとき、
ずーっとつくってるあいだに、
途中で、つまらなくなってることに
気がついたんですよ。
/ 宮本茂
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横になると咳が出るので日記でも書キマス。
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「制限」が創造性を高める理由
http://bit.ly/sQkttl
「何でも好きなゲーム作れるとしたら何を作りたいですか?」って話を聞かれる度に「何かしらの制約があった方が好きです」って答えてる訳ですが。
ただ、上記サイトの「全体を捉える能力」がどうこう、ってのはあんまり関係なくて、
・「何でもイイ」と言いながらどうせ制約がある。
・可能性の幅が大きすぎて絞り込みに時間がかかる。
このあたりが理由ですかね。
あとはある程度の前提や制約があった方が、周囲の人は「どうせこんなんでしょ?」と思ってくれるので、予想をひっくり返す事が出来る、ってのもありますけど。
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糸井さんとのクリエイティブの雑談。
http://www.nintendo.co.jp/wii/interview/souj/sp/index.html
面白いです。
いいなあ。宮本さんとか神レベルを超えて神なんじゃないですかね。現人神。ゼルダ楽しみ過ぎマス。
こんな人達に「カラスは白い」って言われたら「オジキが白いっつーんじゃから白いんじゃ。黒いカラスなんぞ皆殺しにしちまえ!」とか言って銃乱射しそう。そのくらい指示を鵜呑みにしそうですわ。
そんな中でちょっと面白い記事が。
8. つぎに進む話、進まない話
http://www.nintendo.co.jp/wii/interview/souj/sp/index8.html
この項、意外とプロデューサー視点で、ディレクター的な観点から見るとモニョッとする人は多いんじゃないかなー。宮本さんとか糸井さんみたいな優れたプロデューサーばっかりじゃないですから。指示が的外れな事が多い訳で。
ということで、上の記事をディレクター視点でリミックスしてみました。出演者はヨコオと横尾と岩崎さん(勝手に出した)。
※上記原文を読んでないと全く面白く無いので要注意。
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ヨコオ
こういうものがよくて、こういうものがよくない、みたいなことがまとまってたら教えてください。
横尾
あの、その人が一所懸命考えてきて、張り切ってプレゼンしたものに対してそれはこうすべきじゃないかな、ってプロデューサーがいちゃもんをつけたときに、「ああ、それも考えたんですけど・・・」っていう反応をした人は次に通りやすくなる傾向がある。
ヨコオ
ああ、そうですか。その方向を一度は考えているということ?
横尾
いや、一切考えていなくて単にその場での切り返しで。実態としては全く考慮した事もないし、考慮する必要もなかったような内容で。
ヨコオ
企画としては全然必要無いんだけど、プレゼンの場をうまく進めるときに・・・。
横尾
そうそう、プレゼンの場で話しているうちに、
「なんか、妙に違うな」っていう、不必要な先方の意見を処理出来るときは大丈夫なんです。
ヨコオ
うんうんうん。
横尾
そういうときに、別に全然必要ないんだけど、きちんと「ほんとはそうだったんですけど」って言える人はつぎにつながる。
でも、「それはほんとはこうでしょう」と言ったときに「いや、ぼくはそうだと思いません」って、パーンと返しちゃうような人は、それっきりですね。
ヨコオ
ああ、ああ。わかった。要するに、事実を口にしちゃう人はダメなんだよね。
横尾
そうです。
ヨコオ
なんかプロデューサーって、俺達はお客さん目線でいいことを考えられるんだから、もっともっと自分たちをちゃんと頼ってくれ、みたいなところがあるよね。
岩崎
ああーー。
横尾
「そうは思いません」だと、それに取り組むまえに終わってしまうんですよね。
ヨコオ
だから、商品論みたいな話でいうとさ、なんだろうな、たとえば料理でさ、なかなかイイ視点だけど、実際には関係ないものってあるじゃない?パリパリ麺の餡かけ焼きそばは、名前と違って揚げてるからコゲ風味自体は発生しないじゃない。そうすると、大きい企業が餡かけ焼きそばを出すっていうときにコゲの風味は関係無いだろうっていう話になるじゃないですか。
岩崎
はい、はい。
ヨコオ
で、普通は、餡かけ焼きそばって、コゲは関係ないですよね、ってことで終わっちゃうんだけど、プロデューサーが「屋台のコゲた味が焼きそばに必要だ」みたいな余計な話を入れてくる場合は「そのコゲがなんともいえず
香ばしくて美味いんですよね」って返す必要がある。
横尾
うん。
ヨコオ
そうすると、じゃあコゲをどうしようかっていうことで現場の人に渡しちゃったり混乱しますよね。でも、会議でコゲの話に上手く合わせていかないと、プロデューサーの機嫌がどんどん悪くなっていくだけになる。
横尾
そういう感じ、そういう感じ。
ヨコオ
「そうなんですよね・・・」の先に転がしていかないと、そうなっちゃう。
横尾
思いつきのアイデアなんて、殆どは使えないモノばかりですからね。
ヨコオ
ああ、そうだね。
岩崎
そこには、勘違いの作家性と個性しかないので。
横尾
でも、その人がおコゲの話をしたときに、「そうなんですよね・・・」って、まずは言わないと、もうアウトなんです。
ヨコオ
そうですね。
横尾
「いや、わかるんですけどねぇ、 こういう理由で難しくて・・・」っていう話をすれば、じゃあ、そこをなんとかしようっていう次のアイデアの話になるんで。
岩崎
そんな、不必要なアイデアを出す事になるんですか。
横尾
そうです、そうです。
ヨコオ
自分はほんとうは不必要だと思ってるんだけど、クライアントやプロデューサーはそれを許さないだろう、って想像する必要があるんですよ。だから、まずは、「わかりますよ」って言ってあげればいいんですよね。
横尾
うん。だから、実際の会議でもあるんですけど、「そこ、御社としては大丈夫ですか?」ってぼくがプロデューサーさんに確認して、プロデューサーさんに「俺が通しますよ」って答えさせてあげると、話が、つぎの段階に、ひとつ進むんですよ。
岩崎
はい。
ヨコオ
わかるわ。
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ちなみに、僕はクライアントさん相手でも「は?パリパリの餡かけ焼きそばにオコゲ?ないわー勘違いにも程があるわー」とか普通に言っちゃうタイプです(キリッ)。
え?今まで付き合ったクライアントさんにそんな人が居たかって?いや、今までの方は皆さん素晴らしい方ばかりで無理難題を言う人なんて一人も居ませんでしたよ……え?は?ああ、餡かけ焼きそばにオコゲ?なるほど。それは思いつきませんでした。是非現場に持ち帰ってスタッフ一同と打ち合わをさせていただ……(もみ手をしながら遠ざかる様子)。
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2011年11月21日月曜日
【日記】ガンダムUC 1話~3話感想
また敵となるか、ガンダム……!
ガンダムUC /
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ガンダムUCをPSNのHOMEで放送していたので1~3話まで見ました。Twitter の TL で「面白い」という声が多かったので。
結論から言うと「想像していた面白さとは違ったけど、面白かった」という感想。
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今時の面白さって、
・短いスパンで抑揚がある。
・演出重視。
・強めのカタルシスを頻繁に出す。
ってあたりが特徴だと思うんですが、そういうんじゃなかったですね。3巻の後半あたりではちょっと盛り上がりましたけど、それでも弱め。
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基本的に主人公(バナージ)の行動が「戦うけど殺したくない!正義ってなんだ!でも俺はガンダムに乗るんだ!」という90年代っぽい感じ。幼いっていうより、大人の考えた少年像。周囲の大人がそれなりに渋めですし、余計に目立ちます。
(イイ悪いはともかく、ガンダム00みたいに目が大きめのキャラだったら納得出来たかも)
周囲の大人も割と明確に死ぬ死ぬフラグを立ててから死ぬので、設定はややこしい割に、感情の導線としてはあんまり複雑な話じゃない感じ。
■
逆に、モビルスーツやガジェットの描写と設定は一年戦争ファンが大満足なデキじゃないでしょうか。エアバッグとかエアバッグとかエアバッグとか。あと首がとれかけのザクや、メガ粒子砲とか。
絵も丁寧に作られていますし、見ていて飽きません。
これは、現代の技術で「0083」や「0080」をやろうとした作品なので、「SEED」や「00」がしばらく続いたので宇宙世紀ファンの人には嬉しい一作かと。
■
個人的には「宇宙世紀の設定を使った、現代風のストーリー展開」を期待していたので、ちょっと予想と違ったんですが、こういうレトロな感じもこれはこれでいい……というか、こっちの方がまあUCには合うかもしれないなー、というのが3話終了時点の感想。
4話は地上に降りてモビルアーマーと戦う様子だけれど、そのあたりも伝統芸的な何かで。
■
「いままでガンダムは全く見たことがない」という人が見た感想を知りたいかも。逆に知らない分ストレートに面白いと思うのかもしれないですし。
なんかイロイロ考えすぎました。
さて、次は録り溜め中の(話題を集めている)ガンダムAGEを見ないと。
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全然関係ないですが、0083のBGMはいろんな映画の丸パクでイロイロあったような記憶が。今あの作曲をした人は何してるんですかね……(調べるの面倒なので放置)
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2011年11月16日水曜日
【日記】本を読まない。
悪賢い人は勉強を軽蔑し
単純な人は勉強を称賛し
賢い人は勉強を利用する。
/ フランシス・ベーコン
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「ヨコオさんのことが好きです。ブログ冒頭の言葉やインタビューズの画像に載っている本、タメになる本が多いなと思っているのですが、どのようにして見つけていらっしゃるのでしょうか。また、それらの本は読んでいらっしゃるのでしょうか?」
http://theinterviews.jp/yokotaro/1950528
って質問があって。いや、最初の「好きです」ネタは
座右の銘など、あなたの好きな言葉はありますか?
http://theinterviews.jp/yokotaro/769586
この質問キッカケなんですが。
それはさておき、上の回答にも書いたように僕はあんまり本(活字)を読みません。多くて月に1~2冊くらいですかね。映画もあんまり観ません。少ない年は年に1本とかだった気がします。
まあ僕はグータラですから。
■
そんな怠けモノの自分もふと思った訳です。いい年したオッサンが「本読まない」「映画観ない」とか言って、言い切っていいんだろうか?ゲーム業界を目指している若い人も読んでるかもしれないのに……っていうかどこかに罪悪感でもあるのか?自分は。
ということで今日は「沢山コンテンツを消費した方が良いのか?」という問題を考えてみたりします。
■
僕が本や映画をあんまり観なくなったのは二つの原因があります。
一つは大学時代の講師が「一日一冊本を読む人が居る。そのくらいにならなきゃダメだ」と言ってた事です。
問題は、その講師自身の話が魅力的じゃ無かった事。つまんない話をする人の主張を受け入れる人ってあまり居ないんじゃないですか?少なくとも僕はそうでした。
思うに「知識をため込む事が正義」みたいな人は往々にしてコミュ力や自己発想力を軽視する傾向があって、話していてつまらない(を通り超えてイヤミな感じである)事が多いように思います。さらに「何でもシニカルに扱えばカッコイイ」みたいな部分も相まって、どうしても人間的な魅力に欠けるように感じられてしまったんですよね。
■
もう一つは映画。
学生時代に1年だけイギリスに留学していたんですが、街の映画館がキレイで安かったんですよね。500円くらい。で、毎週違う映画を上映してくれる。
まあ学生なので貧乏だしヒマだしで手当たり次第に見に行く訳ですよ。
そうするとですね、だんだん映画を見てる事にマヒしてきて面白く無くなってくるわけです。もう構造を解析したりして、映画評論家みたいな事を考え始めたりする。
「感性がすり減る」って思ったんですね。そういう恐怖を味わった訳です。当時の僕は。
■
それに気付いてから、意図的にエンターテインメントに触れる量を減らすようになりました。映画に行く時はどうしても気になる本や映画以外と、人に誘われる(チケットをもらう)時くらいです。つまり、なるべく一般的な感性を維持しようと。
僕にとって必要なのは、感性を先鋭化させる事じゃなくて、一般的な感性です。なぜなら、平凡でいいから、多くの人がワーッと言うような何かを生み出したいと思っているからで。その為には相手と同じ風景を見る必要がある、そう思っていました(し、今でも一部はそう思っています)。
■
しかし、これは大きな危険があります。
実際に無知が武器になるケースというのは本当に希です。
「自分は普通な事をやっているから一般的な感性を持っている」のは正しいのですが、全体を俯瞰するには「特殊な感性の限界がどこか?」が判らないとダメなんです。
皆さんの周りで「俺は普通な感性だから一般人のキモチは判るよ」と言ってる人は居ませんか?そうした盲目的な愚かさはどこからやってくるのか?
そうなんです。無知それ自体は罪ではありませんが、無知は愚かさを生み出す事が多い。
これも悩ましい問題です。
■
ついでなので、昔からなんなく思っていた事を書きます。
人は無限に知識を蓄積出来ない。限界があります。
ウナギの串打ちを10年やった職人さん。その10年は他に何か覚えられたかもしれない年月です。「何かを覚える時間」というのは「何かを覚えられない時間」でもあるわけです。
無駄に生きている人なんて居ません。何かを感じ、蓄積しているわけです。
20年ゲームを作り続けた僕と、20年違う仕事をしていた人の経験、その内容に違いはあれど、量は「同じ」だと考えるのが妥当です。その知識を使用する状況によって優劣は生じると思いますが、基本的な量は同じです。
同じ時間で、本を10冊読むのも、1冊を10回読むのも、一冊も読まないのも、全て等しい量の経験です。※「知らない事」も貴重な経験です。
ポイントはそれをどう使うか?という事で。
■
たとえば飲み会の場。延々と難しい本のタイトルとか、みんなの知らない映画のタイトルを引き合いに出す人居るじゃないですか。後輩達はハイハイ言ってるけど、実際はお愛想で頷いているだけっていう。そこには(他人の感性を計れない)盲目さが存在する訳です。
逆に、知らない人っていうのは何か新しいアイデアを見つけた時に「うおー俺天才」とか思ったりしますが、それはもうどこかで使われているアイデアだったりして無駄な悦びだったと。
知ってる人にはその(他人の知識を計れない)愚かさが見えると。
両方のケースで言えるんですが、知識の有無はあまり重要ではなくて、どっちかというとその知識の有る事(無い事)を自覚する事が重要なんじゃないだろうか?と思う訳ですね。
「自分は知ってる」と
「相手も知ってる」と思いがちです。
「自分は知らない」と
「相手も知らない」と思いがちです。
その思い込みのリンクをぶった切って、自分の感性と相手の感性の距離を測る力、相手を想像する力、自分の感性を疑う力、そういうモノが重要なんじゃないかなーと最近僕は思っております。ハイ。
■
と、無職のグータラがこれまで本を読む事をサボッてきたことを肯定する為の文章を書いてみました。
皆様におかれましてはご自由にお好きなだけ本なり映画なり読まれる事がよろしいかと思います。
それでは。
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2011年11月13日日曜日
【日記】女子攻兵/フリージア/地獄のアリス
トモちゃーん
お母さんですよー
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ヤバイ。松本次郎の
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4107716384/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&tag=bukkoro-22
「エヴァンゲリオンが女子高生だったら」という設定のマンガ。スピード感ある巨大女子高生アクションと、意味の無いグロと、乾いた笑いが特徴。説明するの無理です。
最近一番面白かったマンガなんですがアマゾンのレビューが微妙な感じから見て取れるように人を選ぶ作品。絵はザカザカした線画だけど、基本的に骨格を上手に描く人で女子高生は可愛いデス。
http://www.comicbunch.com/comicinfo/joshikouhei/
試し読みでは出てきませんが、クリーチャー化した巨大女子高生がバンバンちぎれたりするので(怖くはないけど)グロ耐性の無い人は要注意。
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松本次郎は映画化もされたフリージア
フリージア 1 (IKKI COMICS)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4091883818/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&tag=bukkoro-22
が有名だと思うんですが、個人的にはあまりピンと来なかったんですよね。なんというか、観念的というか妄想の描写のバランスがちょっと行き過ぎてて、個人的には分かりづらくて。
当時は「設定は面白いけど言いたい事が分かりづらいなー」と思ってたんですが、「女子攻兵」はもう少しバトル寄りになってスッキリした印象。
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最近二巻が出た、
も良かったデス。荒廃した未来世界で生きるオタクっぽい挙動の凄腕スナイパーの話。この人(松本次郎)の作品は説明に困るマンガが多いな……
この「地獄のアリス」は一番読みやすいかも。ああでも読みやすい分毒っぽさは無くて松本次郎の魅力は伝わらないのかも。でも(以下略)
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2011年11月11日金曜日
【日記】原発作業員/フリーズドライ/防音マイク/スポンジ業界/靴下業界
私は不幸にも知っている。
時には嘘による外は語られぬ真実もあることを。
/ 芥川龍之介
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レスキュー隊員が被ばくで死んでいる・・・原発作業員4300人死亡説も単に「デマ」とは言い切れまい!
http://etc8.blog83.fc2.com/blog-entry-1269.html
デマにしても派手すぎてリアリティが無いし、
本当だったら大げさ過ぎてリアリティが無い。
いずれにしても恐ろしい。
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衝撃の次世代埋葬法「遺体をフリーズドライして粉砕」「薬剤に溶かす」
http://gigazine.net/news/20110104_promession/
古い記事ですが。
フリーズドライも薬剤も違和感ありますけど、考えてみれば火葬ってのは最も乱暴で痕跡を残さない処理方法ですな。
一番イイのは腐って植物の養分とかになり生態系のループに戻る事でしょうか。
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「一人カラオケマイク 防音マイク ミュートセット VMM-150」
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000UKYGYQ/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&tag=bukkoro-22
テレビで「ストレス解消グッズ!」と称して紹介されていてほほう面白そうだと思ってゾンアマ調べたらレビューが酷かったのでご紹介(どんなだ)。
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奥様。
キッチンのスポンジ、どんなのを使っていますか?
カレーなんかの油モノを洗ったりすると、スポンジの柔らかい部分が一発でヘタったりする……そんな事ありませんか?
そんなみなさんにはコレ
激ピカスポンジたわし イエロー
http://www.st-c.co.jp/product/category/047/099.html
このスポンジは油モノを洗ってもヘタりません。水切れもよく清潔です。本来はフライパンとか鍋洗い用で多少目が荒い感じですが、普通に食器洗えます。多分、銀食器でも洗わない限り大丈夫。
コレを使い始めてからスーパーで似たようなスポンジを探すんですけど「目の粗いスポンジ100%」ってほとんど無いんですよね。裏面が柔らかかったり、サンドイッチされていたりして、どこかに必ず細かいスポンジがある。
僕はこれは「早く買い換えろ消費者め」的なスポンジ業界の陰謀だと思うのです。
スポンジ業界めー!
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陰謀と言えば「破れない&すりきれない靴下が(靴下業界では)開発されてるんだけど、それが出回ると衣料品業界がつぶれるから出さないんだ」って言う説もありますな。
靴下業界めー!
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2011年11月4日金曜日
【日記】ギリシャ/TPP
道徳なき経済は犯罪であり
経済なき道徳は寝言である
/ 二宮尊徳
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経済には全く詳しくない自分が経済について考えてみる日。
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国民投票終了まで対ギリシャ融資見合わせ、国民投票は12月4日に実施へ
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK801721620111103
・ギリシャ経済がヤバイ。
→EUが助ける為に融資申し出。
→代償としてギリシャはさらなる緊縮財政。
→ギリシャ国民が反発。
→ギリシャ首相が国民投票を呼びかける。
→国民投票にEU反発。
これを見たワイドショーのコメンテーター達は「首相は国民の顔色なんか伺ってないできちんとリーダーシップを発揮して欲しい」と言っていました。EUもコメンテーターも、ギリシャは国民投票をやらない方がイイって思ってる様子。
で、ギリシャ国内の雰囲気はこんな感じ。
ギリシャの財政緊縮策が生活を圧迫、国民から不満の声
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-23380920110928
国民投票をやった場合の最悪のシナリオは、EUの支援を拒否→ギリシャの金融が破綻→世界大混乱、という流れ。そして国民は感情的だからEUの支援を拒否する、という予想。
大衆が愚かであれなんであれ、国民投票ってのは民主主義の一番シンプルなシステムなんだけど、そうすると市場が崩壊するという。「結果の正しさの為に、手段の正しさを捨てるのか?」というジレンマ。
簡単な話だけど、難しい。
正しいってなんですかね?
■
で、日本国内ではTPPの議論で盛り上がっていますが、TPPとFTAとEPAの違いすら分からない自分はオロオロするばかり。なんかアメリカ陰謀論みたいな話まで出ていてどれが本当か判らないので、ソースがハッキリしている論説をピックアップしてみました。
>賛成派の2個
新自由主義否定はナンセンス! やっぱり「小泉改革」は日本に必要だった
http://www.cyzo.com/2011/10/post_8937.html
米国丸儲けの米韓FTAからなぜ日本は学ばないのか
http://diamond.jp/articles/-/14540
>反対派の2個
JAのサイト
http://www.zenchu-ja.or.jp/tpp/
反TPP論の問題点‐TPPで農業は壊滅するのか?‐
http://www.canon-igs.org/research_papers/macroeconomics/20110222_728.html
読んでて思った事。
まず、未来予想の「たられば」が多くてどれがアタリなのか判りづらい。
次に「農業が壊滅する」という話は、食料輸入大国の日本は既に壊滅しつつあるんじゃないの?だから現状維持じゃなくて鎖国レベルの関税を主張する必要があるんじゃないの?
最後に「関税が撤廃されている状態」っていうのは日本の都道府県の間でも行われていて、大都市圏の農家とか特に保護されずに崩壊してるんだけれど、それは構わないんだろうか?
……と、こんな感じなんですが。
このあたりはきっとどこかの常識として議論され尽くされているでしょう。多分。
■
きっと誰かが得をすれば誰かが損するような構造な上に、一度信じた方針を手放せない人達ばかりで、どうにもならなくなっているんじゃないのかな~、と思ったり。
ということで「経済はよくわからないな」という事を確認した日でした。<理解出来ていない事を知る事は大変重要。
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2011年11月1日火曜日
【日記】アクセス数/コンニチワ/長さ/社交辞令/ダンボール/遊び/盲点
今考えると気が狂いそうだわ。
明日に望みを託しましょう。
(映画)風と共に去りぬ /
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この日記のアクセス数は毎日1500~2000くらいです。
アナタはそのウチの一人。
コンニチワ。
■
そういえば「コンニチワ」って言葉は「金比羅日輪(こんぴらにちりん)」という言葉から来ていて平安時代末期の奈良に金比羅宮が建立された際に平安を祈願する為に設置された「金比羅日輪不動」の言葉がなまって「こんにちわ」になってその後に「日」を「晩」に変えて「こんばんわ」が生まれたわけなので日本各地のある金比羅神社をみて「コンニチワ」との関係に思いを寄せるのも良いかもしれません、という嘘。
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前回の日記もそうでしたが、最近は自分の日記の長文化が深刻です(自分の中で)。どの程度が適切なのかはさっぱりわかりませんが、とにかく長い。
細かい独り言は Twitter の方で消費してしまっている事もあって、日記の方は何かを長くまとめる傾向になっています。
同じ事を書くにも
・長く溜めて一気に日記にする。
・バラバラでもいいから短く周期的に日記にする。
のどちらが良いのかは悩ましいところ。
という事で今日はなんとなくボンヤリした日記を書くぞ、の日。
■
そういえば、昨日会ったゲーム開発会社の方(初対面)に「ヨコオさんの日記、読んでますよ」と言われました。
会う事はあらかじめ決まっていましたから、社交辞令的に読んで下さっていたのかもしれませんが、よくもまあ見つけますよね。
情報収集能力がスゴイと思います。
僕は他のゲーム開発の人のブログとかあんまり知らないですし。
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関係ないけれど
ダンボールインテリア生活
http://mago.pepper.jp/ccilindex.htm
オシャレーオシャレー。
こういうのを個人的に「すて奥」(すてきな奥様、の略)と読んでおります。
■
この前開発した遊び。
「お笑い芸人名前思いだしゲーム」
ルール
・複数人で遊ぶ。
・順番にお笑い芸人の名前を言う。
>「女性芸人」などのシバリがあると難易度UP。
・一度出した芸人はもう出せない。
・その場に居る全員が名前を知っている。
開発した、って程じゃないですが。
まあ、芸人じゃなくても花でもSF映画でも何でもいいんですけど。芸能人だと「ホラホラあれ、あれに出ていた!」という遊びが出来ます。
時間制限とか設けると楽しくないですね。ずーっとウンウン考え続けるのが面白いです。待ってる側も「えーと他に居たっけ?」と探すので退屈しません。
ちなみにこの遊び、他の人にやらせてみましたがイマイチ不評です。
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僕は人の名前を覚えるのがものすごく苦手で、初対面の人は何度も聞き返します。
芸能人でも、たまに自分の中で「何度思い出してもやっぱり忘れる」という盲点みたいになっている人が居て面白いです。
僕の場合「稲森いずみ」がその筆頭でした。あんまり忘れて面白かったので、何度も思い出しているウチにすっかり覚えてしまいましたが。
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おっといけない。長くなるところだった。
それでは。また。
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